はじめまして。心理的安全性の高い職場にしたい若手OL、おもち(@omochidaihuk)です。
本日は、企業経営理論の中でも、「組織」について、勉強したことをまとめます。
組織とは
はじめに、組織とは何か確認しておきます。
組織とは、「2人以上の人々の意識的に調整された活動および諸力の体系」と言われています。
一人ではできないようなことも、複数人が協力すれば達成することができます。
会社の規模が大きくなればなるほど、たくさんの人の力が必要になります。
同じ目的に向かって、それを達成するために個々のメンバーが貢献し、メンバー同士が気持ちの良いコミュニケーションをとることにより、組織が成立し、会社が成長していくのです。
これについては、バーナードの組織成立の3要素、「共通目的・貢献意欲・コミュニケーション」が有名ですね。
バーナードは、組織が成立するためには、「組織のメンバーにとって、その企業で働く誘因が、貢献意欲を上回っている必要がある」と指摘しました。
基本的に会社と個人の関係は、ギブ・アンド・テイクの関係である必要があります。
会社側から提供するものを「誘因」と呼び、反対に個人が提供するものを「貢献」と呼びます。
例えば、従業員が会社に提供する「労働力」は貢献になります。
それに対し、会社が従業員に提供する「給料」や「福利厚生」などが誘因となります。
組織が成立するには、誘因が貢献と同等かそれ以上に上回っていないと、従業員にとってその会社で働きたいというメリットがありません。
今や転職が普通となったこの時代に、優秀な従業員が出て行ってしまわないよう、従業員にこの会社で働き続けたいと思ってもらえるように、企業側が誘因を生み出していくことが必要不可欠となっています。
弊社は従業員の労働環境を良くするために、常に改善をするよう心掛けています!
組織の設計原則
次に、組織が成立するための原則論について確認します。
組織が成立するには、5つの原則があります。
- 専門家の原則:仕事を分野別に分け、部署ごとに専門的に取り組む
- 権限・責任一致の原則:役職ごとに権限と責任を一致させる
- 統制範囲の原則:一人の管理者の管理できる人数には限界がある
- 命令一元化の原則:一人の直属の上司から命令を受け、それ以外の人からは命令を受けない
- 例外の原則:従業員はルーティン作業をこなし、管理者は例外的な意思決定を行う
実際うちの部署では、複数の上司が異なる指示をしてきたり、係長よりも下の役職の社員に判断を委ねたりしているけどね。
いぬ先輩の職場は組織が成立しているとは言えませんね…
【頻出】組織形態について
試験で良く問われている部分が、組織形態です。
これがまたいろんな条件を入れ替えて引っ掛けてくるんですよね。
組織には様々な形があります。
- 機能(職能)別組織:営業部、販売部、生産部など、機能ごとに分業している組織。
- 事業部制組織:製品別、地域別といった事業部をつくり、その事業部の裁量で運営していく。
- カンパニー制組織:事業部制組織の発展で、利益追求だけでなく、設備の購入や資金調達等の投資に関する判断を自分たちで行うことができる。
- 純粋持株会社:他の会社の経営権を握る目的で、その会社の株式を保有する会社。自ら事業は行わないが、経営の戦略や企画の立案を行う。
- マトリクス組織:機能別組織と事業部制組織のハイブリッド。
- プロジェクトチーム:部署ごとにメンバーを募り、一時的なチームを作って一つの課題解決に向けて動く組織。
★試験対策
機能別組織は専門性が高く、業務効率を高められて、命令一元化の統制がとりやすい。
しかし、部署を管理する管理者の負担が重く、専門的になりすぎて部署ごとに自分たちの利益しか追求しなくなるデメリットがある。官僚制の逆機能にもなり得る。
事業部制組織は事業部ごとに判断をしてくれるので、トップ層の負担が軽くなる。
しかし、事業部ごとに同じ部署が存在するため、まとめてやってしまえば良いものを別々でやるという非効率的なやり方になる可能性がある。また、事業部ごとに全て判断を任せると、セクショナリズム(=部署同士で協力することなく、自分たちの利益を追求すること)が問題になる。
カンパニー制組織は、何よりも意思決定までのスピードが速い。
引っ掛けとしては、法人格を有する、といった文言が入ることがあるが、独立はしているが法人格は有していない。
マトリクス組織は、機能ごとの管理者と事業ごとの管理者が存在し、2人から指示をもらう。事業部制組織の場合は、事業ごとに閉鎖的だったが、マトリクスにすることにより、一つの部署で複数の事業にまたがって対応できるため効率的である。上司が2人以上になり、対立してしまう危険性がある。
組織が大きくなってくると、小さな組織で動いていたときと比べて、できることも増えますが、その分課題も増えてきます。
組織が小さいときは、トップ層から下の層まですぐに情報が伝わり、統制がしやすかった半面、組織が大きくなると、情報が正しく伝わらなかったり、分権化したことにより、個々の部署が好き勝手なことをしたりなど、管理をするうえで様々な課題がでてきます。
また、それを統制するために規則を制定すると、今度は規則主義に陥ってしまい、イノベーションが起きず、組織が硬直化してしまうこともあり得ます。
常に組織が最高のパフォーマンスを発揮していくためには、組織の在り方や外部環境を見極め、最適な組織構造を構築していく必要があります。
この考え方が、組織のコンティンジェンシー理論です。
基本的には、安定した産業では官僚制のような集権的な組織(規則に則って安定した結果を出す)が向いています。
それに対し、不安定な産業では従業員それぞれが革新的なアイデアを生み出しつつ、目的がぶれないように組織を一つにまとめる必要があるため、分化と統合を目指します。
このように、組織は外部環境とのつながりを意識しながら、常に最適な体系を構築していく必要があります。
外部環境との繋がりについては、外部の組織にどれだけ依存するか、また、外部にお願いしている仕事を内部で処理した方が得なのかなどといったことを考えながら、調整していくことが重要です。
【頻出】メンバーのモチベーションについて
組織形態が固まったら、従業員それぞれの働くモチベーションについて対策をとる必要があります。
弊社の従業員は基本的に優秀な方たちばかりなのですが、中にはモチベーションが低い方もいて、どのように対応すれば良いか、いまいち分からず悩んでいます…。
従業員のモチベーションを考えるうえで、様々な学者が提唱した考え方があります。
- マズローの欲求5段階説:生理的欲求(衣食住)⇒安全の欲求(雇用の保証)⇒社会的欲求(所属)⇒自我の欲求(承認欲求)⇒自己実現の欲求(自分の成長に繋がる)の順で欲求を満たしていく
- マグレガーのX理論・Y理論:X理論は人間は元々仕事が嫌いであるため、命令と統制をする必要があるという考え方。Y理論は、人間は仕事をするのが本性で、創意工夫を凝らし、自己実現の欲求を満たしていくという考え方。Y理論による管理が必要であるとする。
- ハーズバーグの動機づけ・衛生理論:不満足誘因を取り除くことでモチベが上がる社員と、満足要因を増やすことでモチベが上がる社員がいる。
- アージリスの未成熟・成熟理論:人間は元々成長する生き物であるため、他の仕事にもどんどん取り組める環境を作っていく。
それぞれ先人たちが生み出してくれた理論をもとに、従業員のモチベーションを高めるためのアプローチを考えていきます。
前回の記事で、コアラ社長が目標としている企業理念について振り返ります。
コアラ社長は、チョコレートの品質にこだわるために、従業員の創意工夫を発展させる組織づくりを目指していると仰っていました。
つまり、コアラ社長には、『従業員自らアイデアを出し、品質の高い商品を作り、その結果従業員自身の暮らしを豊かにしたい』という想いがあるのです。
また、従業員の暮らしを豊かにするという目的もあるため、従業員自身の目標がたとえ会社のためではなかったとしても、その人自身の暮らしが豊かになるのであれば、コアラ社長にとってそれは大きな喜びとなります。
それでは、従業員自らアイデアを出し、成長してもらうためには、具体的にどのような働きかけを行えば良いのでしょうか。
先人たちの知識をお借りすると、
★マグレガーXY:命令と統制により従業員を無理やり働かせるのではなく、従業員に自ら目的達成に向けて働く意識を持たせる。⇒マズローの4・5「自我の欲求・自己実現の欲求」と同じ考え方
⇒MBO(目標による管理):個人の目標を設定し、それを自主的に達成していく管理方法。従業員の創意工夫ややる気を引き出す。
★ハーズバーグ不衛生衛生:不満足要因を取り除くだけでは従業員はモチベが上がらない。従業員自らやりがいや成長を感じる要因を作る必要がある。⇒マズローの5「自己実現の欲求」と同じ考え方
⇒職務充実(ジョブ・エンリッチメント):垂直的拡大。仕事の計画や判断など責任と権限を拡大し、仕事を質的に充実させる。
★アージリス未成熟成熟:既存のルールで従業員を管理しているだけでは、従業員はいつまでも未成熟なままで、人間の成長を押さえつけてしまう。人間の成長を妨げないようにすることが重要。
⇒職務拡大(ジョブ・エンラージメント):水平的拡大。仕事のやれる範囲を広げて、職務を充実させる。ハーズバーグよりさらに広い考え方。
その他にも、従業員自らやりたいと思わせる、内発的動機付けを促す取り組みも必要です。
- デシの内発的動機付け:自分はできるぞ!という有能感とそれを活かし決定することができる自己決定の欲求を満たす必要がある。
- チクセントミハイのフロー心理学:自分と環境を完全に支配し、没頭できる環境下で自分の力を十分に発揮するフロー状態になることが重要。フィードバックが不要となる。
- ホワイトのコンピテンス概念:個人が経験・学習を通じて獲得した能力をある状況下で発揮した際に感じる有能性が重要。これを、自己効力感と呼ぶ。
★モチベーションを上げる過程、①ブルームの期待理論(報酬の期待される価値×報酬を得られる確率)②マクレランドとアトキンソンの達成動機説(成功したいという意欲が強い従業員には、中くらいのリスク(難易度)のある仕事を任せ達成させる)も重要です。
モチベーション理論には、以下のような考え方もあります。
・職務特性モデル:仕事の性質や特異性そのものが深くかかわっているという考え方。仕事自体が面白ければモチベーションが高まる。
・キャリア・アンカー:「どの仕事をしたいのか(what)」よりも「どのように仕事をしたいのか(how)」の方が重要。キャリアを重ねることで形成されるもので、一度形成されると変化しにくく、生涯にわたり重要な意思決定に影響を及ぼす。
おもちさんが転職活動を通して学んだ「自身の仕事に対する軸や価値観」は、まさに「キャリア・アンカー」と言えるね。
【1次頻出】リーダーシップについて
組織の形態、従業員自身のモチベーションときまして、いよいよ組織を成立するうえで最も重要である「リーダーシップ」について学びます。
リーダーシップとは、組織の目標を決めたり、組織のメンバーを動機付けすることで、組織の目標を達成していくことを言います。
コアラチョコレート製造会社のトップのリーダーはコアラ社長です。
今回は、コアラ社長自身に注目していきます。
会社のために、そしてみんなのために頑張ります…!!!
リーダーが従業員に対し影響力を発揮するためには、従業員がリーダーシップを受け入れる必要があります。
リーダーシップの源泉には、公式なものとリーダー個人の努力や資質によるものがあります。
公式なものとしては、合法勢力(規則に則り与えられた権力)、報酬勢力(給与や役職を与える権力)、強制勢力(罰則を与える権力)の3つがあります。
リーダー個人の努力や資質によるものとしては、専門勢力(専門的知識)、準拠勢力(リーダー自身の魅力や一体感)の2つがあります。
リーダーが従業員に受け入れてもらうためには、公式的なものだけでなく、リーダーの努力や信頼性、魅力を兼ね備える必要があります。
コアラ社長は、従業員の暮らしを豊かにすることを一番に考え、常に会社に貢献しています。この姿勢が、従業員からの信頼に繋がっているのでしょうね。
私がこの会社で働き続けたいと思えるのは、給与や福利厚生が充実していることだけでなく、コアラ社長の考え方を尊敬しているからだよ。
僕は省エネ派で、正直会社のために働きたいとは思わないけど、コアラ社長の従業員想いなところに惹かれて、この会社で働き続けたいと思っているよ。
なんて素敵な社長さんなんでしょうか…。この会社を存続させるためにも、応援していきたいですね…!
リーダーシップ理論には、これまで様々な研究結果が出されてきました。
- レヴィンのリーダーシップ類型論:専制型(独裁的)、民主型(リーダーは援助し集団で動く)、放任型(個人商店)の3種類。民主型>専制型>放任型の順で仕事の出来と満足度が変わる。
- リカートのシステムⅣ理論:独善的専制型、温情的専制型、相談型、参加型の4種類。参加型が理想。管理者は上下横の連結ピンであることが大切。
- ブレーク=ムートンのマネジリアル・グリッド:人間の関心(人間関係)と業績の関心(仕事の成果)の両方に配慮できるリーダーが優れている。
- シャートルのオハイオ研究:組織が成果を上げられるようにインフラを整えたり部下の課題管理を行う「構造作り」と、良い人間関係を構築する「配慮」の双方を高度に行うリーダーが優れている。
様々な理論が提唱されていますが、仕事の成果だけでなく、人間関係にも配慮することができるリーダーが優れたリーダーと言えることが分かりますね。
そして、このリーダーシップについてですが、状況によって適合するリーダーシップは異なります。
- フィードラーのコンティンジェンシー理論
指示や命令中心の仕事中心型は、メンバーがリーダーを信頼し、仕事内容が明確で、リーダーの権限が強い場合に効果を発揮する。逆も同様。
中間的なときについては、人間関係中心型の方が良い。 - ハウスのパス=ゴール理論
目標=経路理論。報酬の目標を示し、その報酬を得るための経路を明確にする。 - 三隅二不二のPM理論
P機能(目標達成能力)と、M機能(集団維持能力)により構成されている。
PとMの強弱によりPM,Pm,pM,pmの4種類に分類し、一番はPMとした。 - リーダー・メンバー交換理論(LMX理論)
全てのメンバーを平等に扱うわけではなく、内輪のメンバーとそうでないメンバーがいる。自分と同じ考えで貢献している従業員を内輪として扱う。
以上が、リーダーシップ理論でした!
次に、組織活性化について学習します。
組織活性化
ここまで、組織の体系、従業員のモチベーション、リーダーシップ、以上3つの理論について学びました。
組織が成立するにはこれら3つの要素を意識することが大切ですが、さらにより良い組織にしていくために、組織を活性化させることについて押さえておく必要があります。
組織を活性化させるうえで、はじめに考えることが『組織文化』です。
組織文化とは、組織メンバーの間で共有された価値や理念、あるいは習慣となった行動パターンのことを言います。
経営理念が、トップが定めるものに対し、組織文化は組織メンバーの間で形成されるものです。
組織文化によって、従業員の行動に大きな影響を及ぼし、戦略の実行可能性を左右するため、会社を経営するうえで非常に重要なカギとなります。
そのため、組織文化をマネジメントしていく方法である、組織開発や組織変革を行うことは大切なことなのです。
組織開発とは、組織の有効性や従業員のウェルネス(心身ともに良好な状態)の改善を目指して、人間的かつ民主的価値観のもとで計画的に組織変革に介入するマネジメント手法です。
組織開発を行う際、環境変化に適応を求められる組織において、自分らしさや強みを見失わないよう、組織アイデンティティ(自分たちが組織に対し自覚している中心的、連続的、独自的な属性)を確立しておくことが重要です。
組織を変革していくためには、まず集団の行動特性を理解しておく必要があります。
人が集団を構成すると、個人には見られないような特性が発生します。
よく、クラスの女子が1人だと大人しいのに、グループになると急にうるさくなるといった現象がありますよね。
これを、集団のダイナミクスと言います。
さらに、集団の凝集性が高くなると、まとまりは良くなりますが、閉鎖的になり、集団浅慮(=グループシンク)という、個人で意思決定するときよりも短絡的に決定されてしまうという現象が起きやすくなります。
集団に属していると、周囲からの同調圧力で自分の意見を言えず、周りに合わせてしまいますよね。
こうなると、危険な意思決定をしてしまうことがあるため、注意が必要です。
また、組織の中では、コンフリクトと呼ばれる、組織や個人の間での衝突が発生することがあります。
異なる価値観の人が集まっている以上、対立は避けられません。
一見、衝突はマイナスなイメージがあるように思えますが、組織を活性化したり、変革をするためには、このコンフリクトが非常に重要になります。
コンフリクトが発生した際は、集団の利益になるようWin-Winの解決法を提示することが理想です。
可能な限り、状況に応じた解決法を模索していく必要があります。
この前、仕事で意見の対立があって、折衷案を模索したんだけど、お互いにWin-Winの方法を見つけるのは難しかったな…
相手には相手の考え方があるからね。常にお互いにWin-Winの折衷案を考えるのは難しいと思うよ。状況に応じて、どちらかが折れることも大切だからね。
組織を活性化させるうえで、組織学習というのも必要です。
これは、組織やメンバーが新しい知識を獲得する活動やプロセスのことを言います。
組織学習を進めることにより、知的経営資源を蓄積し、企業の競争力を高めていくことが重要です。
組織学習については、以下の論点を押さえておきます。
- 低次学習(シングルループ学習)と高次学習(ダブルループ学習)
低次:既存の枠組みの中で学習。組織がゆっくり成長するときに必要。
高次:既存の枠組みを超えた学習。組織が革新的に進化するときに必要。 - 組織学習のサイクル
①個人が学習し、個人の信念が変化する⇒②個人の行動が変化する⇒③組織の行動に影響⇒④行動の結果、環境に変化をもたらす⇒①に戻る - ナレッジマネジメント
個人の持つ暗黙知を、組織的な形式知として活用し、知的資産として蓄積していく。 - 組織コミットメント
従業員が会社に対し帰属意識をどれだけ持っているか。
従業員が会社に対し、主体的に働こうとする意欲がわかないと、転職してしまうかもしれない。
③のナレッジマネジメントについては、以下の記事をご参照ください。
以上が組織活性化でした。
まとめ
今回は組織について勉強しました。
会社を経営していくうえで、人材は最も貴重な資源です。
今や転職が普通となった状況で、優秀な従業員を確保しておくためには、メンバーがその会社で働き続けたいと思えるような環境にアップデートしていくことが大切ですね。
最高のチームで最高のパフォーマンスを発揮することができるよう、従業員一人ひとりに寄り添っていきたいです!
次回は、従業員自身を成長させていくうえで重要な、「人的資源管理」について学んでいきます。