はじめまして。心理的安全性の高い職場にしたい若手OL、おもち(@omochidaihuk)です。
本日は、企業経営理論の中でも、「企業の戦略」について、勉強したことをまとめます。
企業とは
企業経営理論に入る前に、まずは「企業」について、理解を深めたいと思います。
企業とは必要なものを調達し、「人・モノ・金・情報」という資源を使って付加価値を加え、市場で販売することで売上や利益を得る営利目的の組織です。
普段我々が何気なく購入している日用品や食品は、市場に並ぶまでに、様々な企業の付加価値が加えられています。
おもちの好物である、クランチチョコレートがスーパーに並ぶまでを例にあげて考えてみます。
- チョコレート製造工場がカカオ豆を調達し、チョコレートをつくる
- クランチチョコ製造工場がチョコレートを調達し、クランチチョコをつくる
- パッケージ製造工場が、クランチチョコを入れるパッケージをつくる
- クランチチョコ製造工場がパッケージを調達し、パッケージにクランチチョコをつめる
- 出来上がったクランチチョコを卸売業者に販売する
- 卸売業者は小売業者に販売する
- 小売業者は店頭にクランチチョコを並べる
- 我々消費者がクランチチョコを購入する
元々はカカオ豆だったのが、①チョコレート製造工場⇒②クランチチョコレート製造工場③パッケージ製造工場⇒④卸売業者⇒⑤小売業者の5つの企業によって付加価値が加えられ、クランチチョコレートに生まれ変わり、我々の市場に並べられているのです。
ここで重要なのは、それぞれの企業が存続するためには、自社製品やサービスの販売相手=顧客に売り上げた金額と外部から調達したときのインプットの差=付加価値を生み出し続ける必要があるということです。
上記の例で言うと、①のチョコレート製造工場は、カカオ豆というインプットとクランチチョコレート製造工場に売り上げた金額の差が付加価値となります。
②のクランチチョコレート製造工場は、チョコレートとパッケージというインプットと卸売業者に売り上げた金額の差が付加価値となります。
最後の⑤小売業者は、クランチチョコレートというインプットと我々消費者に売り上げた金額の差が付加価値となるのです。
パッケージの裏に記載されている製造元で完結しているのかと思いきや、様々な企業が付加価値を加えていたんだね。
このように、我々が普段購入・利用しているモノ・サービスには、様々な企業が付加価値を加えています。
様々な企業が、我々の日常生活をより豊かにすることを目指し、付加価値=利益を生み出し、経済が回っていくのです。
しかし、企業が存続するには、顧客に売れる付加価値を生み出し続ける必要があります。
付加価値を生み出し続けるためには、「人・モノ・金・情報」という資源を有効に活用し、売れる仕組みを構築していかなければなりません。
これらの経営資源を有効に活用し、企業の存続・成長の手助けをするのが、中小企業診断士の役目なのかと思います。
ちなみに、官公庁は営利を目的としない組織です。官公庁の目的は、利益の再分配であり、企業や我々消費者から公平・公正に得た税金を、社会全体が安心・安全な暮らしになるよう、再分配をする役割を担っています。
企業を経営していくために実行すること
企業を経営していくためには、まず何から実行していく必要があるのでしょうか。
いきなり経営計画を立てるのではなく、まずは理念を立て、次に戦略を立て、最後に具体的な計画を立てます。
- 経営理念を決める
- ビジョンを決める
- 戦う場所と自社の強みを分析する
- 戦略を立てる
- 計画を立てる
ここでは冒頭でお話ししました、クランチチョコレートの原材料となるチョコレートを製造しているコアラチョコレート製造会社に着目して考えていきます。
コアラチョコレート製造会社の社長を務めています、コアラです。本日は皆さまに経営支援をお願いできればと思います。
①経営理念を決める
まず、その企業の存在意義や目的である経営理念を決める必要があります。
コアラチョコレート製造会社が掲げる理念は「安心・安全なチョコレートをお客様に提供し、暮らしをより豊かにすること」です。
チョコレートを食べると、幸せな気持ちになりますよね。勉強やお仕事で疲れたとき、会社で嫌なことがあったとき、大切な人と過ごしているとき、そんなときチョコレートを通じて皆様の暮らしを豊かにしていけたらと考えています。
経営理念を掲げる意義としては、次の3つになります。
- 社員のモチベーションを高める
- 社員が判断するときの、判断基準になる
- 社員同士のコミュニケーションのベースとして役に立つ
理念があったほうが、何故この企業で働くのかという意義を見出せるようになり、モチベーションが高まることに繋がります。
また、判断に迷った際は、理念に照らし合わせてみる、社員間で話し合いをする際の基準となる、といったメリットにも繋がります。
単なるスローガンで終わらせるのではなく、組織文化に根付かせることが重要だね。
②ビジョンを決める
経営理念を掲げたら、次にビジョンを決めます。具体的な目標ですね。
コアラチョコレート製造会社が掲げるビジョンは「5年以内に業界でトップ5に入ること」です。
企業の望ましい将来像を表明します。
③戦う場所と自社の強みを分析する
ビジョンが立てられたら、いよいよ戦う場所と自社の強みを分析します。
世界には数えきれないほどの企業が存在し、顧客の奪い合いが繰り広げられています。
そのため、競合と戦う戦略を立てる前に、まずは戦う場所を見極め、自分の武器=強みは何かを考えます。
コアラチョコレート製造会社の場合、戦う場所は「チョコレート製造」の分野で、自社の強みは「お客様だけでなく、働く従業員・取引先・環境すべてを幸せにする会社であること」です。
コアラ社長は、「チョコレートを通じて人々の暮らしを豊かにする」という経営理念のもと、4つのことを重要視しています。
- 安心・安全なチョコレートを作る
健康面を意識したチョコレートをつくる、食品事故が起きないよう環境を整備する - 常に高品質なチョコレートを目指す
安定した味、従業員の創意工夫を発展させる組織づくり - 日常生活に彩りを与える商品をつくる
自分へのご褒美、ギフト、お礼の品など、様々な場面で使えるチョコレートを目指す - 信頼される会社
取引先や株主様などステークホルダーとの良好な関係構築、従業員のワークライフバランスを整える - 地球環境に配慮した取り組み
カカオ豆から不要となったカカオハスクを活用し、衣類や雑貨をつくる
資源を無駄にしない取り組みを行う
チョコレートを通じて、お客様だけでなくステークホルダーや従業員を幸せにすること、また地球にやさしい商品をつくることを目標にしています。弊社の強みは、まさに「味だけでなく、お客様の健康や日常生活、さらには弊社の従業員や環境にまで配慮している」ことです。
まさに、コアラ社長が意識している「チョコレートの味だけでなく、お客様の健康や日常生活、さらには働く人々や環境にまで配慮する」という点は、他の会社と差別化できる強みだと思います。
しかし、知名度が低い点やコストがかかっている点、環境に配慮していることがそこまで人々の購買意欲に繋げられていない点は弱みと言えます。
また、最近では環境に配慮した取り組みを行っている会社は多くなってきているため、他の会社との差別化を図るには難しい状況になってきています。
環境分析・自社の強みを分析する際には、他にも様々な手法や考え方があります。
- SWOT分析:内部環境(強み・弱み)、外部環境(機会・脅威)の分析
- VRIO分析:資源に価値、希少性、模倣困難性、組織能力があるか
- 経路依存性:その資源は経験の積み重ねがないと獲得できないのか
- 因果曖昧性:その資源を真似して何故競争優位になるのか因果関係が不明
- コアコンピタンス:他社が真似できない自社の中核となる能力
①顧客に価値を提供、②他社が真似しにくい、③様々な用途に広く展開可能 - ケイパビリティ:企業が持つ組織的能力(早く提供できる、対応が良い等)
④戦略を立てる
自社がどこでどのように戦っていくかを決めたら、いよいよ戦略を立てます。
戦略を立てる際は、①企業戦略⇒②事業戦略⇒③機能戦略の順で立てていきます。
①企業戦略
まず、①の企業戦略についてですが、事業を行う領域=ドメインはどうするか、つまり、誰に、何を、どのように提供するのかを定義します。
ドメインの切り口としては、①市場(顧客)軸、②機能軸、③技術軸の3つがあります。
①様々な顧客に対し価値を提供、②顧客のニーズに沿った様々な価値の提供、③自社の技術ならではの価値を提供、といった考え方になります。
コアラチョコレート製造会社の場合、チョコレートを通じて、お客様の健康状態や日常生活をより良いものにするという機能軸での価値の提供になるかと思います。
また、企業の場合は、他の事業にも挑戦=多角化していくか、といったことも検討していきます。
コアラチョコレート製造会社の場合、カカオ豆からでるカカオハスクを使用して、衣類や雑貨の制作も始めています。
多角化をしておくことにより、他の事業での利益を見込めるため、リスク分散になり、より事業を活性化させることにも繋がります。
複数の事業をもった場合は、何が利益のでる事業で、その事業で得た利益をどの事業に投資するかを検討していく必要があります。
この分析をする際の有名な手法が、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)です。
PPMは、市場成長率(その事業が市場でどれくらい成長するか)と相対的市場シェア(トップ企業と比較したときどれくらいのシェア率を獲得しているか)を見て、それぞれの事業に投資するか撤退するかを決めます。
試験対策としては、PPMはシナジー効果(事業間で相互的に作用する効果)を意識できていない点や、財務の視点しか考えられていないという点を押さえておきたいです。
また、企業を成長させるために、企業合併や買収=M&Aを行うところもあります。
M&Aの代表的な手法は以下の4つです。
- TOB:株式公開買付。買収する側が株価と期間を表明して、不特定多数の株主から証券会社を通さずに直接株式を買い付ける。友好的と敵対的がある。
- MBO:現在の経営陣が、自社の事業を買収する。
- MBI:企業の外部の経営陣による買収。
- LBO:買収される企業の資産や将来性を担保に、資金を金融機関から借り入れて買収する。
★試験対策
MBO:マネジメントバイアウト⇒アウト⇒企業の役員が外に出ていく
役員という点がポイント!役員ではない課長が~といった引っ掛けが多い。
MBI:マネジメントバイイン⇒イン⇒外部の経営陣が中に入ってくる
LBO:レバレッジドバイアウト⇒レバレッジ⇒少ない資金を元手に借り入れる
※レバレッジとは
レバレッジ(Leverage)とは「てこの原理」という意味。手元に資金がなくても、レバレッジという制度を活用すれば、資金を倍にして借りることができ、そのお金で株式の売買が可能になる。売買に成功すれば大きなリターンがあるが、失敗すればその分損失も大きい。
FXにおいてレバレッジという制度が活用されているね。レバレッジはハイリスクハイリターンであることを心得ておこう。
②事業戦略
次に、②の事業戦略についてですが、自社の事業を取り巻く敵=競争要因について分析し、どういった事業を展開していくかを決めていきます。
有名な手法としては、ファイブフォースです。
①既存業者、②売り手(資源の調達元)の交渉力、③買い手(販売先)の交渉力、④新規参入業者の脅威、⑤代替品の脅威、以上5つです。
これらの敵を分析し、どういった事業の中身にしていくか検討します。
コアラチョコレート製造会社で例えると、チョコレート製造工場は以下の5つの要因を気にしておく必要があります。
- 既存業者:他のチョコレート製造業者との競争
- 売り手の交渉力:カカオ豆の販売会社から高い値段で売られないようにする
- 買い手の交渉力:チョコレートのお菓子製造工場に安定した金額で買ってもらう
- 新規参入業者の脅威:新たなチョコレート製造工場が進出してくる危険性
- 代替品の脅威:他の原材料に代えられてしまう危険性
5つの競争要因を明確にしたら、基本戦略を立てます。
基本的な戦略としては、3つの基本戦略があります。
①コストリーダーシップ戦略、②差別化戦略、③集中戦略の3つです。
①はコストを抑えて大量生産で勝負!
②は他社との差別化で勝負!ブランド品や顧客サービスを充実させているようなお店です。
③は特定の人や地域向けに!
中小企業は大企業の戦略をとるのは難しいので、小さな池で大きな主となる、という考え方のもと、③の集中戦略で戦っていく必要があります。
コアラチョコレート製造会社の強みは、何といってもお客様や従業員・ステークホルダーからの信頼が厚いところです。
また、チョコレートを通じて人々の暮らしを豊かにするために、砂糖をあまり使わず、健康志向の人でも食べられる製品を作ったり、働く人や受験生を応援するためのストレス解消成分を配合した製品を作ったりなど、特定の人向けの品質にこだわったチョコレートを製造しています。
そのため、②と③を掛け合わせた、差別化集中戦略で戦っていくと良いと思います。
このほかにも、事業戦略を立てる際は、以下の点についても考えます。
- 価値連鎖:企業内の主活動(一瞬でも止めることのできない活動)と支援活動(主活動を効果的に行うためのもの)が、それぞれ事業ごとにどのように関係して価値を生み出しているのかを考え戦略を立てる
- 競争地位別の戦略:リーダー(業界トップ)、チャレンジャー(リーダーに次ぐ企業)、ニッチャー(特定の市場)、フォロワー(リーダー企業の真似)の4つのどこの地位に自社が属しているのかを見極め、戦略を立てる
- 先発と後発の優位性、速度の経済性、タイムベース競争
市場に先に参入した企業は、いち早く顧客を取りこめ、経験曲線効果を発揮する。後に参入した企業は、先に参入した企業の結果を見て効率よく利益を生み出すことができる。それぞれメリットデメリットを見極め戦略を立てる。
③機能戦略
最後に、③の機能戦略についてですが、これは会社の中でも、チョコレート製造部、販売部、営業部、人事部、といった部署ごとに現場レベルでの戦略を立てることです。
企業全体での目標、事業ごとの目標に向けて、部署ごとに現場レベルでの最小単位の目標を決める段階になります。
現代の戦略
現代の市場で生き残っていくには、グローバル化を目指し、高付加価値の商品を作り続ける必要があります。
デジタル化が進み、たくさんの財やサービスが存在する中で、顧客に買ってもらう商品を作り上げるには、常に時代に沿った変革をしていく必要があります。
昔のやり方にこだわったままでは、時代に取り残されていくのです。
イノベーションを起こすのに、①インクリメンタル・イノベーションと②ラディカル・イノベーションがあります。
インクリメンタル・イノベーションとは、持続的イノベーションと言い、既存の製品を継続的に改良することです。
一方ラディカル・イノベーションとは、破壊的イノベーションと言い、全く新しい製品を開発することです。
インクリメンタル・イノベーションでは、既存の顧客の要望を叶えるのが目的ですが、ラディカル・イノベーションは新しい顧客をターゲットにしているという点が両者の違いです。
また、製品の場合は製品の設計思想である、製品アーキテクチャというものについて把握しておく必要があります。
製品アーキテクチャには、①インテグラル型と②モジュール型があります。
インテグラル型は、すり合わせという意味であり、個々の部品を細かくすり合わせて調整していきます。日本の得意分野である自動車業界とかが当てはまります。
対して、モジュール型は一つで完結している部品をインターフェイスという連結部分でつなぎ合わせます。パソコンなどが当てはまります。
その他にも、パソコンと言ったらWindowsだよね!と言った感じで、業界の中で標準化させるデファクトスタンダートや、ベンチャー企業のように新技術でイノベーションを起こして急成長をしていく戦略もあります。
また、最近では、他の企業と協力して事業を行う提携戦略をとる企業も増えてきました。
提携戦略には以下のようなものがあります。
- 合弁会社:複数の企業がそれぞれのノウハウを活かし、新たな会社を立ち上げる
- 共同研究と産学官連携:企業が大学などの研究機関と連携して研究開発を行う。その際、政府や自治体が間に入り、補助金や施設の貸し出し等で援助を行い、企業と研究機関の架け橋となる。
- クロスライセンシング:企業同士互いの特許を使用できるよう契約を締結する。
- プラットフォームビジネス:ネット市場やマッチングサービス等の取引の場を提供する。
- 産業クラスター:その産業に関連する企業や研究機関などがネットワークを築いて集積している地域。競争だけでなく協力もベースにしている。
企業の在り方としては、こうした様々な戦略をとりながら、グローバル化を目指していく必要があります。
また、グローバル化だけでなく、CSR(企業の社会的責任)を果たしていき、社会全体の利益を考えていくことも求められてきています。
まとめ
今回は企業の戦略について勉強しました。
厳しい市場で生き残っていくためには、常に付加価値を生み出し続け、競争に勝ち抜いていく必要があります。
コアラチョコレート製造会社の存続を願って、事業の支援を行っていけたらと思います。
思い入れのある会社なので、何とか存続させていきたいです!よろしくお願いします!
次回は会社経営で最も重要である人材に関する分野「組織」について学んでいきます。